組織の死角とは何か
組織の問題が起きるとき、私たちはまず「誰が悪かったか」を探す。しかし長年、組織の失敗と不正を内側から見続けてきた経験から言えることがある。問題の多くは、悪意から生まれていない。
正しい方針、善意の制度、真面目な努力——「これで変わるはず」と信じて打った手が、なぜか組織を止める。その領域を、組織の死角と呼ぶ。
組織の死角とは、善意の方針・正しい指示・真面目な努力が、
いつのまにか逆機能を生む領域のことである。
不正・事故・沈黙・形骸化——それらは個人の悪意が起こすのではなく、
その多くが設計の失敗から生み出される。
起きている現象は不思議でも何でもない。
設計・仕様どおりの結果が現れているに過ぎない。
性弱説——思想の核心
組織や制度を設計するとき、人は性善説を前提にする。期待する能力、当然の倫理観——それをベースに設計するから、問題が起きると個人の「善」を疑い、倫理研修を繰り返すことになる。
しかし性悪説で設計すれば、組織貢献の意欲が失われ、組織力そのものが失われる。このメソッドが立つのは、第三の前提——性弱説である。
人を信じる設計はおかしくない。しかし、人が弱くなる瞬間に備える設計がなければ、信頼は裏切られ続ける。性弱説は、人への不信ではなく、人への現実的な向き合い方である。
人を責めず、設計を問う
このメソッドの根本にある発想は、三つの原則に集約される。
About the Author
木曽 裕
弁護士(元検察官)/ SECIC Corp. 代表
元検察官として企業犯罪・組織的不正の捜査に携わった後、危機管理分野に特化した弁護士として数多くの企業不祥事対応に関わってきた。上場企業の常務取締役として経営の現場に身を置き、組織における人の心理の実態を内側から知る経験を持つ。
現在は複数企業のエグゼクティブアドバイザーを務めながら、「組織の死角メソッド™」の構築・普及に取り組む。北浜法律事務所(東京事務所)スペシャルカウンセル。
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