死角一覧
組織の問題は、悪意から生まれない。
正しい方針、善意の制度、真面目な努力——
「これで変わるはず」と信じて打った手が、
なぜか組織を止める。
その理由は、人ではなく設計にある。
ハラスメント対策を次々と導入しているのに、
なぜ職場の空気は改善しないのか。
「正しい」と信じているから、疑わない。
疑わないから、逆機能に気づかない。
これが、すべての死角の起点である。
研修をしても、指示を出しても、行動が変わらない。
それは意識の問題ではない。「動かないことが合理的」な設計になっているからだ。
問題を報告した人と、黙っていた人。
その後のキャリアを比べたとき、
あなたの組織は社員に何を教えているか。
「責任を持って対応せよ」と言われた担当者に、
実際にどれだけの権限と裁量が与えられているか。
会議で異論が出ない組織は、
本当に全員が納得しているのか。
それとも、言わないことを選んでいるのか。
「厳しいことを言うのはかわいそう」という判断が、
その人から何を奪っているか。
ルールを作った、制度を導入した、研修を実施した。
それでも何も変わらない。正しく作られた制度が、なぜ逆機能するのか。
ルールが細かくなるほど、
社員は「書いていないこと」を
自分で考えなくなっていないか。
1on1を導入した。対話研修をした。
しかしその記録は残っているか。
制度が「やった証拠」になっていないか。
コンプライアンス研修の目的は、
組織を強くすることか。
それとも、何かあったときの免責か。
「このルールを守れ」と言うとき、
どの状況でそのルールを使うべきかを
同時に設計しているか。
風土を変えようとするほど、変わらない。
それは個人の意識や歴史の問題ではない。組織が「学ばない設計」になっているからだ。
リスクをゼロにしようとする組織で、
なぜ現場は小さなリスクを
報告しなくなるのか。
人事・法務・現場がそれぞれ
「自分の範囲」で正しく動いているのに、
なぜ問題だけが誰の範囲にも入らないのか。
事故や不祥事のあと、
「誰が悪かったか」を特定することと、
「なぜ起きたか」を解明することは、本当に同じ作業か。